コラム

士業が懲戒請求されたときに気をつけるべき3つのこと

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懲戒制度は、その職務の信頼を維持・保障するため不可欠なものです。
他方、我々士業(弁護士、司法書士、社会保険労務士、税理士、行政書士)にとって、懲戒請求はいつ誰がされても不快なものです。

懲戒請求は、誤解を恐れずに言えば、「この人に仕事を続けさせるのはけしからんから処分しろ」という強烈なメッセージです。突然の懲戒請求に対して、怒りや狼狽の感情が湧くことはよく理解できるところです。

しかし、士業として仕事を続ける以上、これに対応していく必要があります。
ここで、対応を誤ると、業務の継続、ひいては資格の維持そのものの問題にもつながりかねない重大な結果を招きかねません。不当な懲戒処分によって、本来提供できた社会への貢献が閉ざされかねないのです(逆に、士業にはこうした気概を持ってもらいたいところです。)。

今回は、万が一懲戒請求されたとき、その対応をとして気をつけるべきことをまとめてみます。

判断者を意識する

懲戒請求された側としての最大の目標は、適正な判断を受けること(多くは「懲戒されないこと」、事案によっては「過剰な懲戒処分にならないこと」)になります。

その目標に向けて(これもまた誤解を恐れずに言えば)「判断者を誘導する」意識を持つ必要があります。
言い換えれば、「懲戒しない」という結論を導くための材料を、判断者に対して適切に与える必要があるのです。

判断者(通常は、まずは所属会の綱紀委員会です)は、
・懲戒事由があるかどうか
・懲戒事由があるとして懲戒相当かどうか
を判断して、議決書(名称はさまざまです)を作成します。

つまり、これに対して、
・懲戒事由は存在しない
・仮に形式上懲戒事由が存在しても、懲戒に値しない
という議決書を書くための材料を提供してやるのです。

当たり前だと思われるかも知れませんが、この当たり前のことができていないケースが散見されます。

陰謀論に走らない/懲戒請求者の悪口に終始しない

よくあるケースは、懲戒請求自体を漠然と「言いがかり」と主張したり、なんらかの陰謀論であるという主張に終始している弁明です。

具体的な反論を十分にしないで、「懲戒請求者は信用ならない人物だった」とか、「懲戒請求者はこんなことをしてくる人間ではなかった、裏に誰かいる」とかいう主張に終始して、判断者は「そうだね、あなたは悪くないね」と同情して評価してくれるでしょうか。絶対にしてくれません。

判断者がまず知りたいのは「事実があったのかどうか」です。

この事実の存否に対して、まずは真摯に答える必要があります。すべてはそこからのスタートになります。

なお、誤解しないでいただきたいのですが、実際に悪意をもって「嵌める」懲戒請求者の存在を否定しているものではありません。その指摘だけでは不十分である、ということを言っているのです。

事実の存否に対して曖昧なまま言い訳を始める

次に、「事実の存否」の主張については真摯かつ誠実に行うべきです。

懲戒請求者の主張する懲戒事由を曲解して「そのような事実はない」と言ってみたり、実際には存在する事実について「客観的な証拠がない」と言ってみたりする弁明は感心しません。

その後、主張が修正されたり、客観的な証拠が提出されるケースもあります。
そうなってから、「実際はそうでした」と弁明を修正したときの判断者の心証を想像すればその意味が分かるかと思います。

さらに、事実の存否について「否定」する弁明をすると、その存在を前提にした言い分(いわゆる情状)が主張しにくくなります。
仮に判断者がその事実の存在を認定してしまうと、その評価について事実上一切判断者に丸投げになってしまいます。
真摯な認否をしなかったことそれ自体が悪い評価につながる可能性もあります。

柔道に例えれば、投げられたら最後、受け身も取れずに頭から落ちることになってしまいかねないのです。
事実の存否について真摯な認否を行うことは、投げられた際に適切な受け身を取ることを意味するのです。

第三者の目が必要

このように、適切な答弁をするためには、客観的な第三者の目が必要不可欠になります。
自分自身が冷静でないときこそ、第三者に依頼することを検討しましょう。

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