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自由と正義2025年4月号について

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これまでいろいろな事情により、「自由と正義」掲載の懲戒事案についての言及はしにくいなあと思っていたわけですが、一定の社会的意義もあるという考えに至り、今後、定期的に触れていくことにいたしました。なお、全ての事案について触れることはいたしません。

自由と正義2025年4月号

自由と正義2025年4月号は、戒告3件、業務停止6月、10月、2年、審査請求(棄却)、裁決取消訴訟判決棄却確定(3件)でした。

第二東京弁護士会 戒告

訴訟の進捗状況の問合せに対して、実際には提出していないのに訴状提出済みであるとの回答をした事案

「訴状が未提出であることを懲戒請求者に伝えなかった」終期が記載されていることから、自発的に事実を説明したのでしょうか。それを斟酌した量定なのかも知れません。

三重弁護士会 戒告

答弁書において不必要かつ詳細な前科に関する記載をしたという事案

悪性格立証的な主張をしたいという依頼者は結構いますが、慎重に対応する必要があります。

第二東京弁護士会 業務停止2年

業務停止期間中に業務を行った事案

認定された事実をベースにすると、業務停止開始直後にうっかり業務をしてしまったというよくある事案とは性質を異にしているようにおもわれます。かなり重い処分です。

福岡県弁護士会 業務停止10月

依頼者から依頼者死亡後の会社の整理と整理までの運営を委任されていたところ、自らが瑕疵ある手続により代表取締役に就任し、会社の株式を廉価で取得、回収した多額の金員の報告を他の株主にしなかったという事案

図利目的も認定されたのでしょうか。重い処分となっています。なお、被懲戒者は登録の取り消しもされているようです。

東京弁護士会 戒告

訴訟に関する報告の不履行事案

大阪弁護士会 業務停止6月

成年後見人の財産を経費に一部流用、裁判所に書き換えた通帳の写しを提出した事案

同種事案との比較でやや軽めな量定になっているのは、弁償が済んでいるからということでしょうか。

懲戒請求事案処理件数集計報告(2015年〜2024年)

弁護士白書に引用される懲戒請求事案処理件数集計報告の最新版が掲載されています。

2024年は

新受3243件(前年比656増)
懲戒件数99件(前年比15減)
懲戒審査開始件数217件(前年比42増)

でした。

その年の新受事件がその年中に判断されるわけではありませんので、増減についてはあくまで参考ということで。
なお、2024年の新受件数が3000件を超えたのは、1人で100件以上の懲戒請求をした事案が3例(合計634件)あったことなどによるらしいです。

また、懲戒審査開始件数がかなり増えてます(過去10年で最大)ので、2025年の懲戒件数は増加するかも知れません。

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